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2022年度税制改正:住宅ローン控除手続きを簡素化へ!

2022年度税制改正において、住宅ローン控除の手続きについて、2023年1月1日以後に居住する個人が住宅ローン控除の適用を受ける場合には、金融機関等に対して「住宅ローン控除申請書」を提出し、金融機関等が直接、税務署に残高等の証明をしますので、借入金の年末残高証明書や最初の申告時に必要な新築工事請負契約書の写し等の添付が不要とされました。
 したがいまして、原則、2024年以後の確定申告や年末調整では、年末残高証明書の添付が不要になりますので、該当されます方はご確認ください。

 ただし、金融機関のシステム対応が間に合わないなど、2022年度改正への対応が困難な場合は、現行と同様に年末残高証明書を交付できる経過措置が設けられております。
 また、住宅ローン控除適用申請者の手続きは、金融機関等が経過措置を適用するか否かによって異なります。
 経過措置を適用する金融機関等であれば、現行どおり、適用申請者に年末残高証明書を交付し、その交付を受けた適用申請者は、住宅ローン控除を受ける最初の年には確定申告が必要で、入居年の翌年1月(還付のみの場合)から確定申告書に添付して税務署に提出します。
翌年以降は、会社員であれば年末調整により減税を受けることができ、銀行からの借入金の残高証明書や税務署から最初に確定申告をした年に交付される(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書を添付して、会社に申告しますと住宅ローン控除が適用されます。

 住民税の減税分は、確定申告した年の6月以降にかかる住民税から減税されることになることから、2023年以後は納税者の利便性向上や電子申告推進等の観点から、確定申告及び年末調整において、年末残高証明書の提出が不要となります。
 なお、2022年1月1日以降に住宅の取得や居住を開始した個人の住宅ローン減税は、住宅ローンの年末残高に対して0.7%の減税、控除期間13年間となります。

 住宅ローンの返済期間が10年以上あり、年末時点の残高に対して0.7%の所得税が減税され、所得税から引き切れない場合は住民税から減税しますが、住民税から減税できる金額には上限があり、所得税の課税総所得金額等の5%(最高9.75万円)までとなります。

(注意)
 上記の記載内容は、令和5年1月5日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2023-02-10 (金)|カテゴリー:コラム

令和5年4月から残業時間の割増率が変わる

月60時間超の時間外労働の割増率5割に

 令和5年4月1日より1か月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率を「5割以上の率」とする規定が中小企業にも適用になります。もともと時間外労働の割増率は2割5分以上5割以下で計算をする、となっています。
 2010年4月から労基法の改正により1か月60時間を超える時間外労働は5割以上の割増率で支払うことが決められました。ただし、この改正は中小企業には適用猶予されていて、施行から13年を経て中小企業にも適用される時期となりました。

代替休暇の制度もあり

 中小企業でも1か月60時間を超える時間外労働に対する割増賃金率5割以上が適用されることになるに伴い「代替休暇」の適用も認められます。「代替休暇」とは1か月間に60時間を超えて時間外労働を行なった場合、労使協定において法定の割増率の引き上げ分の割増賃金の支払いに代えて有給休暇を与えることができるというものです。
 協定内容で協定すべき事項は、1か月60時間を超えて労働させた時間に対して何時間の代替休暇を与えるかの計算方法や休暇の単位(1日または半日等)があり、実際に代替休暇を取得するか否かは労働者の意思によります。実施するときは就業規則に「代替休暇制度」を規定しておかなければなりません。1か月60時間を超える残業のある企業はその精算方法についてどのように進めるか労使で協議し、話し合う必要があります。
 ほかにも残業時間が長時間になっている企業は、勤怠システム等で労働時間の現状把握をして長時間労働の是正に努めることが必要です。
 2022年4月から未払い残業代請求の時効が2年を超えて蓄積する期間に入っています。2023年4月からは3年分の訴求請求が可能になります。残業が多い企業は業務の見直し等対策を行いましょう。

2023-02-03 (金)|カテゴリー:コラム

インボイス制度と独禁・下請・建設業法

消費税改正による免税事業者への違法行為

インボイス制度上、免税事業者はインボイスを発行できず、免税事業者に発注している会社は、消費税の仕入税額控除ができず、納税消費税が増えてしまい、何らかの対応を迫られることになります。
しかし、対価の減額や取引の停止、免税事業者から課税事業者への転換要請なども、必ずしも容易には行えません。消費税法の改正が原因で、それらの新たな対応をしなければならなくなってしまい、その挙げ句は、仕入外注先等である免税事業者に対する、独禁法、下請法、建設業法などでの法律上の問題を生み出しかねない状態になってしまうからです。こんなことに悩まなくて済むような配慮的措置を用意した上での消費税改正にしてもらいたいものです。

独禁法・下請法・建設業法での禁止行為

自己の取引上の地位が相手方に優越している場合、相手に対し、不当不利益を与えることは、優越的地位の濫用として、独占禁止法上問題となります。 取引条件の見直しに当たっては、「優越的地位の濫用」に該当する行為を行わないよう注意が必要です。
下請法の規制の対象となる場合で、発注事業者が免税事業者である仕入先に対して、仕入先の責めに帰すべき理由がないのに、発注時に定めた下請代金の額を減じた場合には、下請法第4条第1項第3号で禁止する下請代金の減額として問題となります。この場合、免税事業者であることは、仕入先の責めに帰すべき理由には当たりません。
建設業法の規制の対象となる場合で、元請負人が、自己の取引上の地位を利用して免税事業者である下請負人に対して、契約後に、取り決めた下請代金の額を一方的に減額した場合、建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」の規定に違反する行為として問題となります。

仕入消費税の転嫁保証は必要最低限

仕入側の都合で、免税事業者が負担していた消費税額にも満たないような価格を設定した場合には、独占禁止法上の優越的地位の濫用、下請法で禁止する買いたたき、建設業法の「不当に低い請負代金の禁止」の規定違反、として問題となります。
逆に、免税事業者であることを前提にした取引単価を、課税事業者になってからも、単価改定交渉に応じずに据え置くことも下請法第4条第1項第5の「買いたたき」に該当し、独占禁止法にも抵触します。

2023-02-01 (水)|カテゴリー:コラム

国税庁:2023年分以降の源泉徴収票の見直し内容を公表!

国税庁は、2023年分以降の給与所得の源泉徴収票の控除対象扶養親族の「区分」欄の記載方法を同庁ホームページ上に公表しました。
 2020年度税制改正において、国外居住親族の扶養控除の適用対象となる親族の年齢要件を見直し、年齢30歳以上70歳未満の者については一定要件に該当しない限り扶養控除の適用対象から除外することとされ、2023年分以後の所得税から適用されます。これを受け、2023年分以降の源泉徴収票について、「控除対象扶養親族」の「区分」欄の記載方法を見直し、非居住者が年齢30歳以上70歳未満の者の場合、
①留学により非居住者となった者
②障害者
③居住者から生活費又は教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者のいずれにも該当しない者は対象から除外します。
 なお、年齢16歳以上30歳未満と年齢70歳以上は従来通り適用対象となります。
 また、居住者については変更なく、居住者については空欄となります。
 ただし、給与所得の源泉徴収票をe-Tax又は光ディスク等で税務署へ提出する場合は「00」と記載します。
非居住者(30歳未満又は70歳以上)は「01」、非居住者(30歳以上70歳未満、留学生)は「02」、非居住者(30歳以上70歳未満、障害者)は「03」、非居住者(30歳以上70歳未満、38万円以上送金)は「04」と記載します。
 上記の「留学生」とは、留学により国内に住所及び居所を有しなくなった者をいい、「38万円以上送金」とは、扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費または教育費に充てる為の支払いを38万円以上受けている者をいいます。

 なお、年齢30歳以上70歳未満の非居住者(障害者以外)を扶養控除の適用対象とするときは、要件に該当することを証明する書類が必要で、留学の証明は外国政府等が発行した留学による在留者を証明する書類を、居住者からの支払額の証明は、現行の送金関係書類で送金額等が38万円以上であることを明らかにする書類を給与等又は公的年金等の源泉徴収や給与等の年末調整、確定申告の際に提出等しなければなりませんので、該当されます方はご確認ください。

(注意)
 上記の記載内容は、令和5年1月12日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。

2023-01-28 (土)|カテゴリー:コラム

借り上げ社宅の税金-個人は節税で、会社は変わらない

借り上げ社宅制度で個人の税金負担は減る

 会社が住宅の賃貸物件を借り上げして従業員等に貸与する「借り上げ社宅」制度を導入すると、通常、その従業員等の税金(所得税・住民税)の負担が減ります。それまで給与としていた額の一部を「借り上げ社宅」費用に充て、その分給与額面を減らす仕組みとなるためです。対象者は給与を減らされても、それまで支払っていた家賃費用を支払わなくてよくなるので困りません。
例)家賃15万円の社宅で自己負担5万円
従前:給与45万円家賃15万円で残30万円
導入後:給与35万円家賃5万円で残30万円
※給与額面10万円に対する税金負担が減るので手取りは多くなります。
 一方、会社側の経費負担は変わりません。
従前:給与45万円の支払い
導入後:給与35万円+家賃15万円-本人負担家賃5万円で45万円の支払い
※厳密には、会社負担の社会保険料等が、給与額面10万円にかかる分、減ります。

借り上げ社宅制度導入時に気を付けること

 社宅制度には社宅規程の整備が必要です。特定の人だけが経済的利益を享受しないような規程ぶりとしなければなりません。
 また、借り上げ社宅は、礼金や更新料、退去時の原状回復費用なども借主である会社負担となります。入居者負担額を決める際は、この諸費用負担の考慮も欠かせません。

社宅の適正家賃の計算方法(従業員の場合)

 借り上げ社宅の場合、家賃全額が会社負担では、従業員等に対しての給与とみなされ、課税の対象となります。課税されないためには、一定額の家賃(「賃貸料相当額」)を従業員等から徴収する必要があります。賃貸料相当額は(1)から(3)の合計です。
(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標額)×0.2パーセント
(2)12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準)×0.22パーセント
 従来、受取家賃は、支払家賃の50%ならよいとか、従業員は10~20%の家賃とし、最終手段は、税務調査で正しい家賃を算出してもらえばよいなどもいわれてきました。
 以前は固定資産税の課税標準額は大家さんに聞くしかありませんでしたが、いまは賃借人も請求できますので、適正家賃の計算ができます。適正家賃の計算をし、給与課税されない金額を決めましょう。

2023-01-15 (日)|カテゴリー:コラム

役員報酬総額の上限を超えていませんか?

役員報酬(=役員給与)を決める機関

 会社法で、役員報酬は、定款にその事項を定めていないときは、株主総会の決議によって定めるとされています。役員報酬の改定をするたびに定款の変更をすることは手間が掛かるので、株主総会の決議で決めている会社が多いのではないでしょうか。
 また、株主に同族でない人がいる場合は、できるだけ各個人の役員報酬額は開示したくないとして、その決定を取締役会に委任しているケースが多いものと思われます。

過大な役員給与の損金不算入

 法人税法で、役員給与のうち、不相当に高額な部分の金額は、過大な役員給与として損金の額に算入されないこととなっています。過大部分の額の判定基準等として、法人税法施行令で、実質基準と形式基準が示されています。
 実質基準とは、役員の職務内容や法人の収益、使用人に対する給与の支給状況、類似法人の役員給与の支給状況を総合勘案して算定した額を基準とするものです。
 形式基準とは、定款の規定又は株主総会等の決議によって定められている給与として支給することができる限度額を基準とするものです。
 それぞれの基準で適正と認められる額を超えるものが過大部分の額とされ、いずれか多い金額が過大な役員給与として損金不算入となります。

2022-12-20 (火)|カテゴリー:コラム

インボイス制度 免税事業者の選択と経過措置

免税事業者はインボイスで選択を迫られる

 令和5年10月開始のインボイス制度は、免税事業者の方に選択を迫ります。免税事業者のままでいた場合、今まで認められていた取引相手の仕入税額控除が減ってしまう可能性があるからです。

課税形態によって異なる取引相手への影響

 では、実際どんな取引相手に影響があるのかを見てみましょう。
①自分が免税事業者、相手も免税事業者
 お互い消費税の納税義務が免除されているので、影響はありません。また、取引相手が消費者の場合も、仕入税額控除を行わないため、影響はありません。
②自分が免税事業者、相手が簡易課税制度適用の課税事業者
 簡易課税制度は「みなし仕入れ率」で売上に係る消費税額から控除を行うため、適格請求書を発行していない免税事業者相手でも影響はありません。
③自分が免税事業者、相手が課税事業者
 簡易課税制度でない課税事業者は、令和5年10月以降は適格請求書がなければ、仕入税額控除ができません。ただし、令和5年10月から最初の3年間は免税事業者の請求する消費税額の80%、次の3年間は50%を仕入税額控除可能です。
 つまり、③の場合は経過措置の適用があっても、取引先は今までよりも仕入税額控除額が減り、消費税納税額が増えるため、免税事業者との取引については購入価格の実質的な値上がりが起きてしまうので

2022-12-10 (土)|カテゴリー:コラム
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