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コラム
振替納税の領収書を廃止
国税を口座振替で納付する「振替納税」の利用者に対して、金融機関から送付される領収証書が来年1月から廃止されます。来年以降は国税庁の電子申告専用ページ「e-Tax」の「振替納税結果」メニューからこれまでの納付結果を確認できるようになるほか、書面による証明が必要なら各税務署で証明書を発行するそうです。
領収書の廃止は、会計検査院の指摘を受けての対応です。検査院は平成26年度の検査報告で、振替納税の領収書発行のために、用紙代として年間2600万円程度、被覆シール代として250万円程度、さらに領収書1通当たり63円を支出していると指摘し、その上で納税者は預貯金通帳で容易に振替履歴や金額を確認できるとして、これらにかかった費用を2年分で7億円無駄にしていると指摘していました。
領収書は今年12月までは、これまでどおり金融機関から送付されるそうです。
<情報提供:エヌピー通信社>
スイッチOTC薬控除の取組要件の確認!
2016年度税制改正において、軽い症状であれば病院に行かず市販薬で治療するセルフメディケーション(自主服薬)推進のための施策として、「スイッチOTC薬控除」(セルフメディケーション税制)が創設されました。
そもそもセルフメディケーション税制とは、自分や自分と生計を一にする配偶者その他の親族のために「スイッチOTC薬」を購入した場合、年間1万2,000円を超える部分の金額を、8万8,000円を限度として、その年分の総所得金額等から控除できる制度をいいます。
対象者は、健康の保持増進や疾病の予防への一定の取組みを行う個人となります。
ここでいう「一定の取組み」とは、特定健康診査(メタボ健診など)、予防接種(インフルエンザなど)、定期健康診断(事業主健診)、健康診査(人間ドックなど)、がん検診などの検診等又は予防接種をいいます。
つまり、この特例の適用を受けるためには、まず特定健康診査、予防接種、定期健康診断、健康診査、がん健診などに取り組んでいることが要件となります。
ただし、サラリーマンの場合、会社が実施する定期健康診断などにより取組要件はクリアできますが、専業主婦や学生などの場合はこれらの取組みを行う機会が少ないと思われますので、スイッチOTC薬を購入しても控除の対象になるのかといった疑問がございます。
この点につきましては、「居住者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族に係る特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、その居住者がその年中に健康の保持増進及び疾病の予防への取組みとして政令で定める取組みを行っているとき」は、特例が適用されると法律で規定しております。
つまり、居住者(納税者本人)が取組みを行うことが要件ですが、その居住者と生計を一にする配偶者その他の親族が取組みを行うことは要件とはされていません。
したがいまして、この特例の控除を受ける納税者以外が購入したスイッチOTC薬も控除の対象になりますので、該当されます方は、ご確認ください。
また、この適用期間は2017年1月1日から2021年12月31日までの5年間となっております。
今後の動向に注目です。
(注意)
上記の記載内容は、平成28年12月1日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
所得拡大税制、中小企業優遇を拡大へ
社員の給料をアップした企業の法人税負担を軽くする「所得拡大促進税制」について、中小企業が2%以上賃上げしたときは最大減税額が22%に拡大されることになりそうです。国は減税幅の拡大で中小企業の賃上げを促す狙いです。
現行制度では、①給与支給総額が平成24年度から3%増加、②給与支給総額が前年度以上、③従業員1人当たりの平均給与が前年度以上――の3要件を満たす企業は、賃上げ総額の10%を法人税額から税額控除(中小企業は税額の最大20%、大企業は10%)できます。青色申告をしている個人事業主から大企業まで幅広く利用できる制度です。ここでいう「給与」は、所得税法上「給与所得」として課税される賞与や諸手当も含みます。
これが税制改正により、給料が前年度比2%以上の条件を満たす中小企業を対象に、賃上げ総額の最大22%を法人税額から差し引くことができるようになります。積極的に賃上げに取り組む中小企業の税の軽減効果を大きくすることで、大企業並みの賃上げにつながるようにするとのことです。
<情報提供:エヌピー通信社>
相続税調査で狙われる海外資産
平成27年度の相続税の実地調査1万1935件のうち、海外資産を持っている人への調査は859件だったことが国税庁の発表で明らかになりました。海外資産関連調査は3年連続上昇し、統計が開始された平成13年以降で最多。27年度の859件は、13年(117件)の7.3倍にもなっています。
海外資産関連の調査859件で申告漏れなどの非違が発見された件数は117件。申告漏れ課税価格は47億円、非違1件あたりの価格は3999万円でした。地域別非違件数をみると、北米が61件で最多。アジア40件、欧州12件、オセアニア8件と続きます。非違があった財産は、現金・預貯金が65件で最多で、有価証券33件、不動産32件でした(「その他」42件)。
国税当局は、①相続や遺贈で取得した財産に海外資産がある、②相続人、被相続人が国外に居住している、③海外資産に関する資料情報がある、④外資系金融機関との取り引きがある――といった国外資産が絡む相続への監視を強めています。国際課税に関する今後の方針を定めた「国際戦略トータルプラン」で国税当局は資産フライトに攻め入る姿勢を打ち出しており、今後は海外資産への調査がさらに強化されていくことになります。
<情報提供:エヌピー通信社>
働く女性の率が大幅に上昇
◆労働人口の変化
総務省の労働力調査によると、平成27年の女性の労働力人口は2842万人と前年に比べ18万人増加(前年度比0.6%増)しており男性は3756万人と7万人減少しています。労働力人口は前年より11万人増加(前年度比0.2ポイント増)の6598万人で、労働力人口に占める女性の割合は43.1%(前年比0.2ポイント上昇)となっています。
◆年齢別労働力率
厚生労働省がこのほど公表した「平成27年版働く女性の実情」によると女性の労働力率(15歳以上人口に占める労働力人口の割合)は49.6%(男性は70.3%)と前年に比べて0.4ポイント上昇しています。
労働力率を年齢階級別でみると、いわゆるM字カーブの底にあたる年齢は平成20年から26年は35歳~39歳でしたが、平成27年は30歳~34歳となっておりM字の底の値は0.4ポイント上昇し、71.2%と2年連続し7割を超えています。25歳~29歳については初めて8割を超え、全ての年齢階層の比較で過去最高となっています。10年前と比べると各階層で労働力率は上昇していますが、上昇幅が最も大きいのは60歳~64歳で平成17年から10.5ポイント上昇しています。
配偶関係別の労働力率は、未婚者が63.3%、配偶者のいる女性が51.4%、死別・離別者は29.6%です。年齢階層別で比べると未婚者は50歳~54歳が13.8ポイント上昇と上り幅が大きくなっています。有配偶者の女性では30歳~34歳が12.3ポイントの上昇と上り幅が大きくなっています。
◆最近10年間の働く女性の年齢階層
この10年間の変化を平成17年から22年までの5年間と平成22年から27年までの5年間に分けてみると、前半では30歳~34歳と35歳~39歳が増え、配偶関係別の有配偶者でみると、前半は変化が少ないものの後半になると労働力率が上昇している事が分かり、育児休業や時間短縮制度が企業においても浸透してきている様子が窺えます。出産や子育ての為に離職する女性が以前と比べて少なくなっている傾向が分かります。
名ばかり中小企業を締め出し
中小企業にだけ認められた法人税の租税特別措置について、その対象から直近3事業年度の所得平均が15億円を超える企業を除外することになりました。資本金を減らすことで名目上の中小企業となって税優遇を受けようとする〝名ばかり中小企業〟を防止することが狙いです。
平成29年度税制改正では、各事業年度の所得のうち800万円以下の部分について、本則19%の法人税を15%に軽減する中小企業の軽減税率が2年間延長されました。この制度のほか、研究開発税制や設備投資税制などには、財務状況が脆弱な中小企業を支援するために減税幅などを大企業よりも大きくするなどの特別措置が設けられています。
これらの軽減措置は資本金1億円以下の「中小企業」が受けられる制度です。しかし、いわゆる大企業が資本金を1億円以下に抑えて節税しようという動きがあったため、今後は直近3事業年度の所得平均が15億円を超える企業は中小企業に該当しないこととされます。
大企業が資本金を減らした事例としては吉本興業が資本金125億円を1億円にしたケースがあります。また、経営不振に陥っていたシャープは1218億円の資本金を1億円に減らすことを計画しましたが、批判が高まり5億円とすることで落ち着きました。
<情報提供:エヌピー通信社>
相続税の課税対象者が倍増
平成27年に死亡した129万444人のうち、相続税の課税対象となったのは10万3043人で、前年の5万6239人からほぼ倍増したことが国税庁の発表で明らかになりました。相続税の〝大衆化〟が初めて数字となって示されたことになります。
平成27年の死亡者のうち、相続税の納税が必要な相続に掛かる被相続人数(10万3043人)の割合は8%で、前年の4.4%から大きく高まりました。これは27年1月に相続税が課税されるかどうかのラインである基礎控除額が「3千万円+(法定相続人×600万円)」に引き下げられたことで、課税対象者の範囲が広がったことが原因です。相続増税の影響で、それまでなら課税対象ではなかった多くの人に税金が掛けられていることが分かります。
また、被相続人一人当たりの税額は前年の2473万円から1758万円に下がったものの、課税総額は同1兆3908億円から1兆8116億円にまで増加しました。なお、金額ベースでみた相続財産の種類の構成割合は、土地38%、家屋5.3%、現金・預貯金等30.7%、有価証券14.9%、その他11%でした。
<情報提供:エヌピー通信社>