中小企業白書で見る会社の課題

中小企業庁がまとめた「2015年版中小企業白書」では、高収益を生み出す企業と、業績が低迷する企業との差が以前より広がりつつあることが明らかになっています。両者を分ける要因は、研究開発への投資といった収益性向上への取り組みのほか、人材確保と育成に対する意識の違いもあるようです。

 収益向上への課題についての問いに対し、高収益企業では「優秀な人材の確保、人材育成」と答えたのが過半数に上るのに対し、低収益企業では「既存事業の見直し」、「有利子負債の削減」といった回答が多いという結果が出ました。また今後の賃金に対する考え方をみても、高収益企業では「優秀な人材確保のため、積極的に高めていきたい」と答えた割合が高く、低収益企業では「人件費削減のため、非正規比率を高めるなどして平均賃金を下げて行きたい」と答えた企業の割合が高収益企業を上回りました。これらの結果から、高収益企業は中長期的に売り上げを伸ばし、人材確保・育成を重視しているのに対して、低収益企業は現状の資金繰りの苦しさもあってか、中長期的な成長よりは目の前のコスト削減を重視していることが分かります。

 「雇用動向調査」によると、中小企業では44.2%の新卒採用者が3年以内に会社を辞めているそうです。限られた経営資源を費やして確保した人材を職場に定着させることは、すべての中小企業にとって喫緊の課題です。就業者から見た、仕事を辞めないために必要な取り組みを聞いた質問では、「賃上げ」(14.6%)や「職場の配置転換」(12.2%)、「労働時間の削減」(6.7%)などが上位を占めましたが、もっとも多かった回答は、「どのような理由があっても退職は避けられなかった」(40.9%)でした。社員の離職を防止する特効薬のようなものはないのが現状ですが、白書は「普段からコミュニケーションをしっかり取り、未然に就労者の不満を吸い上げて、試行錯誤を繰り返しながら制度をきめ細かく改善していくことが必要である」と総括しています。

<情報提供:エヌピー通信社>

2015-07-23 (木) 14:58

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