資産課税の見直しも、昨年6月の税制抜本改革法附則第21条を受けての改正内容となっています。
それでは、主な改正項目を概観してみたいと思います。
なお、以下の改正は平成27年1月1日以後の相続又は贈与から適用されます。
相続税の基礎控除及び税率構造の見直し
基礎控除は4割圧縮され、
定額控除5,000万円が3,000万円に、
法定相続人1人当たり1,000万円が600万円になりました。
また、税率構造は、現行では相続税の課税価額が3億円以下40%、3億円超50%ですが、
大綱では2億円以下40%、3億円以下45%、6億円以下50%、そして6億円超の金額は55%となっています。
なお、贈与税についても税率構造が見直されています(税率構造の一部緩和)。
小規模宅地等の特例の拡大
特定居住用宅地等については、現行の適用対象面積を240㎡から330㎡に拡大、
さらに、特定事業宅地等との完全併用が可能で、適用面積は最大730㎡となっています。
事業承継税制の見直し
具体的には、雇用確保要件については、
現行の「5年間の間、毎年8割以上」から「5年間平均で8割」とする等に緩和され、
また、利子税の負担軽減や猶予税額の再計算の特例の創設等の負担軽減、事前確認制度の廃止、
手続の簡素化等の見直しがなされています。
未成年者控除と障害者控除の見直し
未成年者控除(20歳まで)は年6万円から20万円、
障害者控除(85歳まで)は年6万円(特別障害者12万円)から10万円(特別障害者20万円)に
拡充されています。
相続時精算課税の適用要件の見直し
贈与者の年齢を60歳(現行65歳以上)に引き下げ、
受贈者の範囲に20歳以上の孫(現行 推定相続人のみ)を追加しています。
教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度の創設
これは、直系尊属からの教育資金一括贈与(一定の要件を満たすのものに限る)については、
子・孫ごとに1,500万円まで非課税とするものです。
この非課税の措置は、平成25年4月1日から平成27年12月31日までの期間の贈与に限られます。
その他の改正
二世住宅の構造要件の撤廃、老人ホームに入居していても一定の要件を満たす場合には特定居住用宅地等の適用が可能となる改正もなされています。これらは、平成26年1月1日以後の相続から適用されます。