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《コラム》専業主婦の年金に新しい手続きが開始
特例期間該当届・特例追納制度
今までサラリーマンの配偶者に扶養されている専業主婦(主夫)で国民年金の3号被保険者であった人が1号被保険者への切替の事由が発生した際に手続きを忘れていて、気がつかないうちに保険料未納期間になってしまっていたようなケースが多々ありました。後から気がついても保険料納付遡り期間は2年間とされていたためそれより前の期間は納める事ができませんでした。
このような場合の救済措置として4月から遡り追納期間が10年になりました。
このような場合に手続き漏れが多い
ケース1 サラリーマンの夫が
・退職した
・脱サラして自営業を始めた
・65歳を超えた
・亡くなった
・サラリーマンの夫と離婚した
ケース2
・妻自身の年収が増えて夫の健康保険の被扶養者からはずれた(妻が会社員、夫が専業主夫の場合も同様)
このような時は本来国民年金の切替の手続きを行わなければならないのですが、手続きを忘れ未納期間が発生してしまった方も追納の手続きができるようにしたのです。
手続きの必要のある方は
夫が退職した時や妻の年収が増えた時等は第3号被保険者から第1号被保険者への切り替え手続きが必要ですが、手続きが遅れて、2年以上たってしまい保険料納付ができずに未納期間扱いとなってしまった方です。
手続きのメリットは
①未納期間があるため年金加入期間が足らず年金を受け取れないと言う事態を回避できる場合があります。たとえ保険料を納めなくとも「特定期間該当届」の手続きをすれば年金額は変わりませんが受給資格期間には算入できます。
②保険料の追納で年金額を増やす事ができます。届出を忘れていた特定期間について「後納・特定保険料納付申込書」の手続きで最大10年分保険料を納める事ができるので年金額に反映されます。
《コラム》社会保険・資格取得・喪失の証明書申請と交付
社員が新たに健保に加入する際の手続き
新入社員には早く健康保険証が本人の手元に届くように手続きしたいところですが、全国健康保険協会(協会けんぽ)では、被保険者の資格取得手続、並びに被保険者の加入手続きをしてから健康保険証が交付されるまで日数を要します。
このため新たに被保険者や被扶養者となる人が早急に病院を受診する必要がある時等は健康保険証交付までの間、申請により、「健康保険被保険者資格証明書」が交付されます。急ぐ場合は「被保険者資格取得届」や「被扶養者(異動)届」提出時に「健康保険被保険者資格証明書交付申請書」を管轄の年金事務所の窓口に提出すると「健康保険被保険者資格証明書」が交付される事になっています。この証明書の有効期限は20日以内ですので健保証が交付されたらすぐに返納しなければなりません。
資格取得・喪失などの確認請求
協会けんぽの健康保険の被保険者や被扶養者であった人が退職や被扶養者でなくなった後に国民健康保険の加入手続きの為に、資格喪失年月日や扶養から除かれた日に関する証明を必要とする時は「健康保険・厚生年金保険資格取得・資格喪失等確認請求書」を年金事務所に提出すると、喪失年月日等が記載された確認通知書が交付されます。これは後日送付されてくる「健康保険・厚生年金保険資格喪失確認通知書」とは別のものです。急ぐ場合は資格喪失届と一緒に請求書を提出するとすぐに確認通知書が交付される事になっています。この通知書を国民健康保険加入の市区町村の窓口に提出する事で遅滞なく国民健康保険証の交付を受ける事ができます。
このように資格取得や資格喪失時に資格証明書が必要かどうかを早めに本人に確認しておく事がよいでしょう。
《コラム》許認可事業の事業承継対策
社長の平均年齢は過去最高齢の59.0歳!
帝国データバンクが行った2015年全国社長分析によると、社長の平均年齢推移は一貫して上昇を続けており、2014年は59.0歳と過去最高を更新したそうです。自分が作り上げてきた事業を、更に育ててくれる後継者に引き継がせたい、そんな想いで事業承継に取り組んでいる社長も多くいらっしゃることと思います。事業承継を巡っては様々な経営資源が問題の対象になりますが、本日は「許認可」に焦点を当てて考えてみます。
許認可事業は承継される?
会社で行っている事業が何らかの「許認可」を得ている場合、その事業は預貯金や株式などの資産と違い、必ずしも次世代へ引き継がれるというわけではありません。許認可を取得する際、「ヒト(人的要件)・モノ(物的要件)・カネ(財産的要件)」の三要件を満たすことと掲げられている場合が多く見受けられます。このうち、もし社長自身が「ヒト」の要件を満たしその許認可を取得していると、社長が退くことで、事業そのものを維持できなくなってしまうこともあるのです。ここでは、建設業を例に挙げます。
建設業許可の承継に必要な人的要件
建設業許可の取得では、「経営管理業務責任者(経管)」と呼ばれる経営を管理する人と、「専任技術者(専技)」と呼ばれる技術面を担う人の存在が求められます。この二者は誰もがなれるものではなく、経管は建設業許可業者の役員として少なくとも5年以上の経験、また専技は一定の資格を取得しているか、10年以上の実務経験を積んでいるといった条件が課されています。もし社長がこの経管と専技の役割を担っている場合、社長が引退してしまうと「ヒト」の要件を満たせず、許可の取消し事由になってしまう可能性がありますので、事業の承継をするためには、後継者としてこうした一定条件をクリアできる人員を確保していかなければなりません。
許認可事業の事業承継は早めの対策を
ご自身の経営されている事業に許認可が与えられている場合は、今一度その取得要件を確認してみましょう。建設業許可に限らず、「ヒト」が許認可の維持に必須となっているものが多い中、このように要件を満たすまで長い年月を要するケースもありますので、長期的な対策が必要です。
平成27年度税制改正大綱 法人課税編
平成27年度の税制改正は、法人税改革が中心です。その特徴は、法人税実効税率の引下げに伴う財源不足は同じ法人課税の枠内で調達する、というものでした。
しかし、改正項目の多くは資本金1億円超の大法人を対象としたものとなり、結果として、先行減税となる改正案です。以下、主な改正項目を概観していきます。
●法人実効税率の引下げ
法人税の実効税率(標準課税ベースで34.62%)を平成27年4月1日開始事業年度から2.51%、平成28年4月1日開始事業年度ではさらに0.78%引下げ、以後数年で20%台まで引下げるとするものです。
なお、中小法人等の軽減税率15%は、2年間延長されることになっています。
●欠損金の繰越控除の見直し
改正案は、中小法人等を除く資本金1億円超の大法人のみの見直しとなっており、控除限度額は、平成27年4月1日開始事業年度からは所得の65%(現行所得の80%)、平成29年4月1日開始事業年度からは所得の50%に縮減するものです。
なお、新設法人や再生計画の決定等があった場合には、一定の期間までは所得の全額を控除できるものとし、上場や再上場等の場合、以後の事業年度は対象外とするものです。
●欠損金等の繰越控除の延長
現行の9年から10年に延長です。これに合わせて帳簿書類の保存要件も10年に延長されています。この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度において生じた欠損金額から適用です。
●受取配当金の益金不算入の見直し
改正案では、持株比率に応じて益金不算入割合を次のように区分しています。
持株比率5%以下:20%
持株比率5%超~1/3以下:50%
持株比率1/3超~100未満:100%
持株比率100%:100%
※負債利子控除に関しては、1/3超100%未満保有の関連法人株式等を除き廃止となっています。
この改正に伴い、負債利子控除額の計算の簡便法の基準年度を平成27年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する事業年度に改められています。
※株式投資信託の分配金は、特定株式投資信託(益金不算入20%)を除き全額益金算入、また保険会社が受ける配当金については、特例的な措置が講じられています。
平成27年度税制改正大綱 個人課税編
個人課税については、配偶者控除を中心とした各種控除や税率構造等の大きな改正は見送られました。以下、主な改正項目を概観していきます。
●国外に居住する親族の扶養控除の適正化
国外扶養親族21人もの扶養控除の適用を受けていた事例があり、その適用に疑義のあるものも散見されることから、適用を適正にするための改正が行われました。
具体的には、国外に居住する親族に係る扶養控除等の適用を受ける納税者に対して、確定申告書等に次の書類を添付し、又は当該確定申告書等を提出する際に提示することを義務付けるものです。
①親族であることが確認できる書類(例:戸籍の附票の写し、出生証明書)
②納税者が親族の生活費等に充てるための支払を行ったことを確認できる書類(例:送金依頼書、クレジットカード利用明細書)
この改正は、平成28年分以後の所得税について適用されます。
●国外転出時の譲渡所得等の課税の創設
租税条約上、株式等のキャピタルゲインなどは居住地国課税です。これを利用し、含み益のある株式を保有したまま、株式等の譲渡非課税国に出国し、その後に売却することで、課税を逃れることができます。
これを防止するため、一定の高額の資産家を対象に、出国時に未実現の含み益に対して特例的に課税する規定を創設しました。
具体的には、出国時に有価証券の評価額が1億円以上の者であり、かつ、出国直近10年以内において5年を超えて居住者であった者が対象です(入管法別表第一の在留資格で居住していた期間を除く)。
また、未実現に対する課税ですので、納税資金が不十分であることを勘案し、一定の要件を具備することで納税猶予が選択できる措置も講じられています。
なお、この改正は、出国者(特例対象者)の有する有価証券等を贈与、相続又は遺贈により非居住者に移転した場合にも適用がありますので留意が必要です。
適用は、原則、平成27年7月1日以後に国外転出をする場合又は同日以後の贈与、相続若しくは遺贈からです。
●未成年者のNISAの創設
年間投資上限80万円、非課税期間5年間、非課税投資総額が最大400万円で、18歳になるまで原則として払出し不可といった要件があります。適用は、原則、平成28年1月1日以後の申し込みからです。
査察調査での告発数はクラブ・バーが最悪
平成25年度に査察調査で最も多く告発を受けた業種は「クラブ・バー」でした。
査察部、いわゆる「マルサ」が平成25年度に告発した数を業種別に見ると、「クラブ・バー」の12件が最悪。「不動産業」9件、「建設業」「情報提供サービス業(出会い系サイトや競馬・パチンコ情報の商材販売)」「保険業」の各5件が続きます。
「クラブ・バー」は、23年度は5件で「運送業」と〝同着6位〟、24年度は「情報提供サービス」と並んで11件で最多でしたが、今回は単独でワーストとなりました。ホステスへの報酬について源泉徴収をしていたにもかかわらず、税金を納めないケースが多かったようです。
そのほか、不動産販売にかかる売上と仕入の両方を除外する方法で取り引きそのものを隠していた不動産業者、関係会社に対して架空の外注費を計上していた建設業者、所得を一切申告していなかった情報提供サービス業者、架空の接待交際費を計上していた保険業者などが告発されています。
平成25年度に査察部が処理した案件は185件で、そのうち告発分は118件(告発率63.8%)でした。処理事案の脱税総額は144億5800万円、1件あたりでは7800万円。告発分は117億3100万円、1件あたり9900万円でした。
告発事案1件あたりの脱税額が1億円を下回るのは35年振り。リーマン・ショックで会社や個人の利益が少なくなった影響がうかがえます。そうはいっても、脱税額が3億円以上は4件、そのうち5億円以上は2件と、多額の資金を隠し持っていた人も存在しました。
<情報提供:エヌピー通信社>
法人減税分の使い道は「内部留保」
法人減税が現実のものになった場合の減税分のお金の使い道について、企業からの回答で最も多かったのは「内部留保」であることが帝国データバンクの調査でわかりました。
調査は6月に2万3118社を対象に行い、1万571社から回答を得たもの。「内部留保」に続くのは、「社員に還元」「借入金の返済」「設備投資の増強」「人員の増強」となっています。安倍政権では6月に公表した新成長戦略で「成長志向の法人税改革」を打ち出し、法人減税の実現に向けた強い意志を示しています。首相は、「(黒字)企業の負担減が国内経済の活性化につながる」としていますが、今回の結果では、お金は市場にまわらずに溜め込まれるようです。
帝国データバンクでは、「設備投資」と「研究開発投資」を合わせた資本投資は20.0%で、「社員に還元」と「人員の増強」を足せば人的投資が31.5%となることから、「積極投資は51.3%に上る」とまとめています。しかし、内部留保と借金返済を合わせれば36.8%になることから、経済の活性化につながるとは言い難い状況に変わりありません。さらに、「設備投資」を挙げた企業では、投資の額について5千万円未満と答えた割合が6割近くを占め、減税分の一部に過ぎないことが読み取れます。法人減税が日本経済の活性化に寄与するかとの問いに対しては、「寄与する」との回答は53.1%にとどまり、黒字法人のみが優遇される法人減税への期待の薄さが浮き彫りになりました。また、外形標準課税の課税ベース拡大については、「賛成」は25.7%にとどまり、「反対」の41.0%、「わからない」の33.3%から大きく引き離されました。
<情報提供:エヌピー通信社>